豊岡プチロックフェス実行委員会
Vol.11 《豊岡市》
兵庫県豊岡市にある映画館「豊岡劇場」は、1927年に芝居小屋として始まり、社交ダンスなどで使用されていた建物です。そんな歴史ある建物の豊岡劇場で、2025年6月8日に「豊岡プチロックフェス」という音楽イベントが開催されました。大ホールと小ホールで交互に演奏を行い、来場者が行き来して自由に音楽を楽しむ、フェス形式のイベントです。心がロックならジャンルを問わない、という呼びかけで、ロック、弾き語り、吹奏楽、ポップス、ラップ、ポールダンスなど、全国から多様な17組が集結しました。
―3年間の集大成
「豊岡プチロックフェス」を運営しているのは、同委員会の傳川一美さん。地域おこし協力隊として神奈川県から移住し、現在はkazmy(カズミー)という名前でFMジャングルのパーソナリティーを務めています。地域の魅力発信の他に、イベントの企画、運営、司会などの活動もしています。
「年齢を重ねるにつれて安定した生活を重視するようになり、転職なども考えていませんでした。ですが、年女の2022年に突然新しい事への意欲が湧いてきました。20代の頃に音楽活動や歌の仕事をしていたので、自分の得意な声を使って、これからは人や地球のために役に立てる仕事をしたいと考えるようになったんです。そんな時、地域おこしでラジオの仕事をしませんか?という募集を見て、やりたい事にぴったりだと思い、勇気を出して豊岡への移住を決意しました」と傳川さん。
そして、地域おこし協力隊の任期が最後になった2025年は、得意分野である音楽で、地域を活性化をしたいと考え、「豊岡プチロックフェス」を開催することにしました。
「豊岡の学生を見かけるたび、勉強する姿を見ていたので、どこで青春してるのかな?と思っていました。また市民の方と関わっていく内に、胸の中に熱いものを秘めている方が多いと感じていたので、学生や市民の皆さんに内なるパッションを表現できる機会を作りたいと思うようになりました。音楽関係の知り合いが全国にいるので、他地域のアーティストとの共演や交流、豊岡ソングの作成と発表を通じて、豊岡の魅力を知ってもらうことができたら。そしてお互いに刺激を受けあい、市民の皆さんには愛着をより深めてもらえたらと考えました」。
最初は「どうやって輪を広げたらいいのかが」わからなかったという傳川さん「困っているときは困っていると言ったほうがいい」とアドバイスをもらい、イベントや懇親会で相談をしました。次第に協力者や参加してくれる人が増えて、人の温かみや繋がりを感じたといいます。
―音楽で繋がる

(画像:高校生に向けた「コトバ集めワークショップ」の様子。)
音楽イベントの目玉の一つは、市民と共に豊岡のイメージソングを作り、当日披露することでした。傳川さんは、豊岡市民の言葉から音楽を作りたいと考え、「コトバ集めワークショップ」を開催しました。『豊岡の日常〜その先にある光〜』をテーマに、キーワードを書いてもらうワークショップです。さらには地元の図書館などにノートを置き、書き込んでもらうことで歌詞になる言葉を集めました。
大人の言葉だけではなく、若者の言葉も欲しいと考えていた傳川さん。出演やスタッフとしても協力してくれることになった地元の高校の軽音楽部で、ワークショップを開きました。約45名が所属している軽音楽部では、カバー曲を演奏するバンドがほとんどで、曲を作るという文化がまだないことを感じたといいます。曲を作る経験をしてほしいという思いから、ワークショップだけでなく、歌唱や演奏のレコーディングにも参加をお願いしました。メインボーカルは複数の豊岡市民が担当し、サビは軽音楽部のみんなの声や、手拍子も重ねています。
傳川さんは作詞の監修とメロディー部分に携わり、編曲は知り合いの音楽関係者に頼み、豊岡ソング「今ココTOYOOKA」が完成しました。豊岡プチロックフェスでは、曲を披露するために組んだ市民バンド「Imacoco band」で演奏しました。フィナーレの際には、スペシャルゲストのコザック前田氏(ガガガSP)を中心に、会場にいる出演者、来場者、出店者の全員が集合し、大合唱しました。

(画像:豊岡プチロックフェス、フィナーレの大合唱の光景。)
「ひとりで始めた企画でしたが、多くの方に協力していただいて最後までやり遂げました。何より関わってくれた皆さんが楽しかったと伝えてくれたことが幸せでした。最後はみんな感動して泣いていて、人の心が動いたことがすごくうれしかったです。来年一緒にやりたいといった声や、他県の方から豊岡ロス、豊岡市民の方からはプチロックロス、という声ももらいました。大好きな音楽で繋がり、地域の活性化という目標が達成できたと思います」と傳川さんは笑顔で話します。
―歌い継がれるように
豊岡プチロックフェスが終わった現在、フェスで作成した豊岡ソング「今ココTOYOOKA」が豊岡市制20周年の記念事業として採択され、CD化の準備を進めている傳川さん。11月16日(日)の豊岡市民会館にて開催予定の記念式典で無料配布を予定しています。内容はオリジナル版とLIVE版の2曲入りですが、若者はCDデッキを持っていない人もいると考え、複数の音楽配信サービスでも期間限定で配信されます。
「まだ任期後についてはっきりと決まっていませんが、今後も音楽を通して、コミュニケーションの循環を大切にし、地域や社会に貢献したいと考えています。音楽イベントの開催もそうですが、市民のみなさんに口ずさんでほしいと思って豊岡ソングを作ったので、『今ココTOYOOKA』が歌い継がれていくように、そして市民バンドである『Imacoco band』も続くように力を注いでいきたいです」。
豊岡プチロックフェス当日の様子は、instagramやYouTubeでも観ることができます。豊岡市民の想いが込められた「今ココTOYOOKA」は、高校生たちが撮影したMVに編集され、YouTubeにアップされています。ぜひ豊岡を思い浮かべながら聴いてみてください。
| Name | |
|---|---|
| Info |
■ 豊岡プチロックフェス実行委員会 [問] (Mail) kazmy@764.fm [Instagram]https://www.instagram.com/toyooka_petit_rockfes/ ■ FMジャングル [所]兵庫県豊岡市大手町4-5 アイティ7F [問]0796-22-0764 [HP]http://www.764.fm/ |