豊岡歴史文化事業実行委員会「つなげる但馬」

Vol.15 《豊岡市》

令和5年3月31日に発足した豊岡歴史文化事業実行委員会「つなげる但馬 」(会長 西田真)。演劇やミュージカルで但馬の歴史を上演する活動をしています。地域の人がもっと但馬を知り、郷土愛や誇りを抱くことにつながるように歴史の保存と普及を目指します。

―但馬を知る

「但馬には隠れた歴史遺産や偉人の遺徳がたくさんあります。知られていないことも多く『何もないところだよ』なんて言葉をよく耳にしますが、あまり卑下してほしくないですね。このまま風化して忘れ去られてしまわないように、活動していきたいと思っています」と教えてくれたのは代表の岡本眞さん。

岡本さんが但馬の歴史を好きになったのは、高校一年生のときに歴史研究会という部活に入ったことがきっかけでした。2年上に郷土歴史の著書で有名な瀬戸谷晧さんが部長を務めており、歴史を含め様々なことを教わりました。中でも「自分が思ったことや感じたことを必ず書き留めて文献にして残しておくべきだ」という教えは、岡本さんの中にずっと残っていたと言います。

「ですが活字離れの世の中ですよね。小説ならまだしも、歴史書や文献を読んでもらうというのは難しいかもしれません。若い子にどうしたら響くのだろうかと考えた時に、演劇なら直に体感できていいのではと、この活動を始めました」。

豊岡出身の岡本さんですが、現在は京都の木津川市に住みながら大阪で社会保険労務士をしています。舞台をすると決めた際にキャスト捜しにで悩んでいたら、同業者たちが協力してくれることになりました。その結果、大阪と豊岡それぞれに今回の舞台の出演メンバーが混在することになりました。稽古は豊岡と大阪で別々に進め、合同で3、4回合わせた後本番に挑みました。大阪のメンバーはまず但馬弁を練習することから始めるなど、慣れないことも多々あると言います。

「キャストも同業者だけでなく、豊岡で演劇をしている高校生や舞台経験者、但馬ミュージカル研究会の方などの協力で成り立っています」。

―五感で感じる歴史


(画像:2025年7月6日に開催された雅成親王物語〜うつつなる世を 見るぞかなしき〜の様子。<左>満席状態の客席。<右>ミュージカル舞台。)

豊岡歴史文化事業実行委員会「つなげる但馬」は、発足した令和5年に「大石吉之進物語 冴え月の儚(ゆめ)」を上演し550名が訪れました。そして第2回目となった昨年は「雅成新王物語〜うつつなる世をみるぞかなしき〜」という800年前の鎌倉時代の物語を上演し、400名余りが訪れました。どちらの公演も地域の反響の高さから急遽追加公演となりました。

「本当にいろいろな人の助けや支えがあって活動ができています。キャストを買って出てくれた同業社労士もですが、衣装も無償で貸してくださったり、出演者自ら小道具を自主的に作ってもらったり、話を聞いて積極的に広報をしてくださった方もいます。そういった助けが追加公演に繋がったと思います。大阪からも100人を超える方が見に来てくれました。これを機に但馬ファンが増えてくれたと思います。嬉しいことですね」。

劇の展開や舞台道具にも様々な工夫があります。脚本は岡本さん自身が書き、史実をもとに伝説や言い伝え行事を織り交ぜて作りました。その他にも、親王へ手土産を捧げるシーンで「谷口の今川焼き」や「コウノトリ米」を出すなど、但馬ならではの小ネタを挟むことで、住んでいる地域の人々が思わずクスっと笑ってしまうポイントをつくっています。観客に笑いが起きるとやっぱり嬉しいと言います。舞台演出では、背景やシーン切り替えのときに岡本さん自身が現地で録画した動画を流したり趣味の篠笛演奏の録音を挿入するなど、五感に訴える工夫を考えたそうです。

「展開が面白いといった声があって嬉しかったですね。物語を書く前に主人公がおられた場所や活躍された場を実際に訪れると此処にあんな歴史があったんだなあと、当時の様子や息づかいを感じます。想像するだけで歴史のロマンが浮かび上がり、目の前には当時のありし日が蘇ってきますね。本当に感慨深い気持ちです。そういったことを体験して欲しいですね」と振り返る岡本さん。住まいが遠いため、移動などの大変なことはあるものの、好きでやっているのでストレスはたまりません。何よりカーテンコールの拍手を聞くと、全て報われた気持ちになると教えてくれました。


―昔話を今に活かす


(画像:舞台後の記念写真。)

「こういった活動を始めてから、思いを伝えれば協力が得られることが何度もあってとても嬉しかったですね。なんせ地元を離れて60年、どこの馬の骨か分からない突然の落下傘部隊ですよ。でもつくづく思いました。話せばわかる。こちらが夢を持って相手に熱く語ると皆さん快く協力してくれて、活動に対して賛同がいただけます。その都度、この公演を絶対に成功させるぞ、と思いを強くします」。

いずれは但馬の偉人を舞台に、年1回の公演を目指している豊岡歴史文化事業実行委員会「つなげる但馬」。昔の歴史を知ることは、郷土愛だけでなく生き方も学べると言います。「もしかしたら時代遅れという声や、時代が違うと思われるかもしれません。ですが歴史や偉人の立派な生き方は、現代でも必ずヒントになると思っています」と語る岡本さん。

動画サイトには「冴え月の儚」の舞台ダイジェスト版があるので、ぜひ一度ご覧ください。

Name 豊岡歴史文化事業実行委員会
Info ■ 豊岡歴史文化事業実行委員会
ダイジェスト動画:冴え月の儚
https://youtu.be/aMMGAs779wE?si=NH8uEaoEXmNtgK8R

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