芸術表現ネットワーク「HIBOCO」

Vol.5 《豊岡市》

2021年4月に開校した芸術文化観光専門職大学では、在校生や卒業生により日々多くの芸術活動が行われています。 その公演情報を観客に分かりやすく届けているのが、同大学の学生が運営する芸術表現ネットワーク「HIBOCO」です。

―「見たい人」と「見せたい人」をつなぐ



「芸術文化と観光」の2つの視点から地域活性化を学ぶ国内初の公立大学である同大学は、授業の成果発表や演劇やダンスを行うサークルが活発です。発表機会も数多くあり、発表場所も映画館や劇場、商店街など様々な場所で行われています。


元々は大学の事務所が学内サークルの公演情報を広報していましたが、それでは卒業生による芸術活動などをカバーできませんでした。また単発公演も多く、広報が難しかったそうです。


「演劇を観賞したくてもどこで情報を調べたら良いのか分からない状態が続いていました。“見たい人”と“見せたい人”との需要と供給が噛み合っていなかったのです」
そう話すのは芸術文化コースを専攻している3年生の前川友萌香さん。HIBOCOの立ち上げメンバーの1人です。


 

―SNSを活用し情報発信

HIBOCOの主な活動内容は、インターネットやSNSを通じた芸術活動の情報提供です。在学生や卒業生を中心とした芸術活動情報をHIBOCO公式ホームページにまとめ、それをLINEやInstagramといったソーシャルネットワークサービスで発信します。


運営や更新は全て学生のみ。サークル名は、但馬を開拓したと伝えられている土木の神様アメノヒボコにちなみました。HIBOCOを“CO”と表記したのは、COMM(共に)からきています。


(画像:学内にあるオープンスペース。週に2回ほどここで打ち合わせを行う)


また「ソーシャルネットワークサービスは窓口の役割もあります」と前川さん。
演劇団体に直接感想を伝えづらいユーザーは、ソーシャルネットワークサービスを通しHIBOCOへメッセージを送ることで、気軽に思いを伝えることができます。
「公式SNSは日々登録者数が増加しており、他の芸術大学や芸術団体などからもアクセスがあります。公演情報が分かりやすくなったとの声も多く、客観的にみても地域に貢献できていると実感できます」。
そう語る前川さんの目には、やりがいと喜びが光っています。



(画像:学内には多くの芸術発表情報が寄せられる)

 

―住民と芸術の交流を目指して

観光文化コースを専攻している3年生の若井歩さんは、「活動は情報発信だけではありません」と続けます。HIBOCOでは地域と芸術発表をもっとつなげるため、発表終了後に観客が感想を話し合う「ポストトーク」のサポートを積極的に行なっています。

「但馬地域では“学生を応援したい”と学外から多くの一般の方々が演劇を観に来てくれますが、これは実は珍しいことなのです。他地域での学生演劇では、観客のほとんどが身内ということもあります」と若井さんは教えてくれました。


今までに2回行なったポストトークでは公演ごとに趣向を変え、いずれも出演者・観客から大好評を得たそうです。
「制作側である学生はまだ演劇の勉強中です。ただ発表するだけで終わらないように、観客と話し合うことでブラッシュアップできればと思っています」。


 

―学校を出て地域に羽ばたく

立ち上げ当初は5名だったメンバーの数も現在は12名に増えました。専攻や学年も違う様々な学生が集まり、個性豊かなメンバーによってさらなる発展を目指すHIBOCO。学外での活動をより充実させるため、将来的にはNPO法人の設立も視野に入れています。
また2024年5月4日と5日には、豊岡市民プラザにて中高生向けワークショップ「演劇ってなんだろう?」を開催予定。
詳細はHIBOCO公式ホームページにて更新されます。


「芸術家も観客も同じ但馬の住民です。アメノヒボコが但馬の地を切り拓き豊かにしたように、私たちも豊かさをもたらせられればと思っています」。
そう願うHIBOCOのメンバーたちは、
これからも地域と芸術発表をつないでいきます。

Name 芸術表現ネットワーク「HIBOCO」
Info [所]兵庫県豊岡市日高町江原101
[HP]https://sites.google.com/view/hiboco-bocoboco
[X(旧:Twitter)]@hibocoboco
[instagram]hiboco_nt
[Mail]cat.st.network@gmail.com

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