豊岡ミュージックフェスタ実行委員会
Vol.6 《豊岡市》
鞄産業や出石焼、出石そば、名湯・城崎温泉など伝統と文化が息づく町、兵庫県豊岡市。同市で2024年8月4日(日)に「豊岡市民プラザ ほっとステージ」で開催された「豊岡MUSIC FESTA 2024」は、ジャズ・ゴスペル・ブラスバンド・ダンスグループなどから構成された音楽イベントです。約200名の参加を想定していた同イベントは、当日入れ替わり立ち替わりで約600人の老若男女の参加者が訪れ、音楽と親しむきっかけの場となりました。
―プロの生演奏を聴ける機会を作りたい
(画像:「豊岡MUSIC FESTA 2024」で「Nandee w / スペシャルバンド」のボーカルを務めた矢引さんの姿。<矢引さんInstagram>)
「豊岡MUSIC FESTA 2024」を運営しているのは、2024年春に設立したばかりの豊岡ミュージックフェスタ実行委員会です。同イベント代表の矢引明子(やびき あきこ)さんはNandee(ナンディー)というステージネームで豊岡市を中心に活動しているプロのシンガーです。2019年5月に豊岡市にオープンした自身の音楽スタジオ「Nandee Music 」では、ボーカルレッスン・ゴスペルコーラス、Music Together®(※1)などの音楽レッスンの講師を担当。その他にもスタジオをイベントやバンド練習場として貸し出すコミュニティースペースの代表もしています。
「豊岡MUSIC FESTA 2024」のイベントについて、「但馬にはプロやアマチュアを問わず交流する場や、老若男女が音楽とふれあえる場所が少ないという現状があるんです。イベントを通じで出演者同士の交流や、もっと多くの人に気軽にプロの生演奏を楽しんでもらう機会になればと思い開催しました」と話す矢引さん。コロナ禍でみんなで歌うという機会も少なくなってしまったこともあり、自身がこれまで出会ってきたプロミュージシャンたちの音楽を豊岡市の人たちにもぜひ聴いて欲しいと考えて、イベントを開催することを決意したそうです。
そして、矢引さんは地元の方を優先にジャズイベント関係で縁があった鳥取、京丹後などにいる奏者やアーティストへ出演を相談。さらに会場をプロの生演奏を聴きながら食事が楽しめるジャズクラブのような雰囲気にするために、軽食の用意・会場の花などを担当してくれそうなお店や知り合いにも声をかけました。また、子どもたちにもジャズならではの金管楽器(サックスやトランペットなど)を使用した面白い音楽もあること紹介するために、周囲の人たちへ協力を仰ぐなどをして人と人を結び、当日に向けプログラムや会場の設営の準備を進めていきました。
(※1)「Music Together®︎」とは…1987年にアメリカで誕生した0歳からの未就学時を対象にした音楽教育プログラムのこと。幼児心理学、幼児音楽教育を長年に渡り研究されて出来た音楽プログラムでは、世界各国の楽器を使用しながら音楽とふれあう。
―豊岡にジャズクラブがやってきた!
(画像:<左>多くの人で埋まった「豊岡MUSIC FESTA 2024」の会場風景。<右>鉄筋彫刻家・徳持耕一郎氏のライブドローイングとコラボした神奈川県在住のソロサックス奏者・TSUBO-KENのライブステージ風景。<矢引さんInstagram>)
「演奏会というとステージに向かって椅子が横一列に並ぶホール会場を思い浮かべるかと思いますが、堅苦しくなるのでテーブルを囲うように席を設置したんです。席の真ん中には花を飾ったり、天井にはミラーボールを吊るしたり、飲食もできたりとジャズグラブの雰囲気に近づけました。演奏は20分ごとに変わるようにセッティングしていたためか、お子さんも飽きずに楽しめていたようで良かったです。参加者だけでなく、出演者たちも互いの演奏などを観て楽しんでいるようでした」と笑う矢引さん。会場はカジュアルな雰囲気となり、ステージ上では矢引さんを含め全体で12組のグループがパフォーマンスを披露しました。
演奏の他にも、鳥取市在住の鉄筋彫刻家・徳持耕一郎氏のライブドローイングや、豊岡市出石町を拠点としている4歳〜高校生のメンバーからなる「HIBOC-CO」のダンスが披露されました。最後に、スペシャルゲストとして招待した鳥取県を活動の拠点としているジャズピアニスト・菊池ひみこ氏や、鳥取大学のJAZZ&FUSION研究会の学生ジャズバンドグループ「The Bop’s(ザ ・バップス)」の生演奏も行われたことで、豊岡市ではこれまでなかった豪華な音楽イベントとなりました。
(画像:<左>「豊岡MUSIC FESTA 2024」で行われた「HIBOC-CO」のダンス。<右>イベントのフィナーレで披露された、菊池ひみこ氏アレンジの「ふるさと」の一部を、全体合唱している風景。<矢引さんInstagram>)
イベントのフィナーレは、企画時から決めていたという音楽家・岡野貞一氏が作曲した「ふるさと」の全体合唱が行われました。菊池氏がアレンジした同曲は、最初はクラシックから始まり、中盤にジャズ、徐々にゴスペルへと変わっていくオリジナルのものです。聴いていると音楽のジャンルを超えた壮大な世界の広がりを感じるようなアレンジとなっています。今回は、このアレンジ曲の最後のゴスペル部分を再現。全体合唱では子ども合唱団と矢引さんが加わり、会場のスクリーンには「ふるさと」の歌詞を投影することで、観客も合唱に参加しやすくしました。
―音楽が生んだ相乗効果
同イベントについて音響設備を整えたり、20分ごとにステージの転換をしたりする作業は大変だったとしつつ、これまで出会ってきた人と自身との集大成のようなステージにもなったという矢引さん。
「難しいことは考えず、音を聴いているだけでもいいです。最後の全体合唱では子どもたちのパワーもすごくて、リハーサルの時に泣いてしまいましたね。私は主に出演者へのオファーやチラシの制作などを中心に関わりましたが、イベントの受付やアーティストと観客の誘導といった細かな運営のサポートは私が指導させていただいている生徒のみなさんがやってくれました。本当にしっかりやってくれるので助かりました。生徒のほかにも設営を専門にしてくださった方、出演者の方も一緒になってみんなで準備しました。次回の開催は未定ですが、次は身近な繋がり以外の人たちともこういったイベントができればいいなとは思っています」と振り返ります。
イベントが終わってからすぐ「またやりたいね」という話が出るくらい盛り上がったという同イベント。音楽には多くの人の心を掴む魅力があることが伺えました。気になる豊岡ミュージックフェスタのイベントの様子や、矢引さん自身の活動はSNSで発信しています。機会があればぜひイベントにも参加してみてください。
Name | 豊岡ミュージックフェスタ実行委員会 |
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Info |
■豊岡ミュージックフェスタ実行委員会 [Mail] toyookamusicfesta@gmail.com [Facebook] https://www.facebook.com/profile.php?id=61561675787486 [Instagram] https://www.instagram.com/toyooka_musicfesta/ ■音楽スタジオ「Nandee Music」 [所] 兵庫県豊岡市中陰617豊岡アミューズメントビル1F北 [休] 要お問い合わせ [時]10:00〜22:00 [問] (Mail) nandeemusic@gmail.com (TEL) 0796-20-6139 [HP] https://www.nandeemusic.com |