江原河畔劇場 たじま児童劇団

Vol.2 《豊岡市》

江原河畔劇場は、「演劇のまち」兵庫県豊岡市にて2020年4月に開館しました。 古くは商工会館として地域の中心にあった建物を改築し、1階には劇場、2階にはスタジオを完備。 平田オリザさん率いる劇団「青年団」の本拠地として、演劇はもちろん芸術を発信する場として地域に賑わいを与えています。

―地域に親しむ河畔劇場



開館から3年。劇場内での公演はもちろん、団員が学校や企業に赴きワークショップと呼ばれる体験型講座を行うことも増えたと言います。

「市内だけではなく、但馬全域からワークショップの声がかかるようになりました。ある旅館からは“演劇のまちに観光に来るお客様をもてなすため、自分たちも演劇をもっと知りたい”と言われました。従業員さんからも楽しいと好評ですよ」
そう教えてくれたのは、同代表理事で俳優の村井まどかさん。劇場で活動している「たじま児童劇団」では、小学生の部を指導しています。




たじま児童劇団は2021年に結成されました。小学4年生〜6年生による小学生の部、中学生と高校生による中高生の部があり、月に2回ほどワークショップや公演練習を行っています。現在小学生16名、中高生は23名が活動中。但馬を中心に大阪など地域を問わず多数の児童が参加しています。普段とは違うメンバーと知り合えるのも魅力の一つで、楽しみなあまり練習開始の1時間も前から来る児童もいるそうです。

―演劇を通し成長する子ども達

「小学生の部では、特に演劇を楽しむ気持ちを大切にしています。クオリティを高める訓練は必要ですが、型にはめるような育成はしません。行うのは、子どもの“やりたい”への手助けです」と村井さん。
「例えば声の小さい児童がいるとします。“セリフはこうした方が聞きやすいよ”や、“こう伝えたいならこう言ってみたら?”などアドバイスは行いますが、無理やり大声を出せとは言いません。舞台には“声の小さい役”として立てばいいんです」
そう言って笑う村井さんは、「子どもたちはたくましいですよ」と続けました。




「演劇にはコミュニケーションが必要で、コミュニケーションには会話が必要です。子どもたちは“もっとこうしたい”という欲求を持ち、どうすればより楽しく演劇できるのかを自ら考え行動できます。最初は大人しかった児童もすぐになじみ、回を重ねるごとにどんどん自分から発言するようになりますよ。公演を終えた児童たちはやりきった自信に溢れ、見違えて見えます」と太鼓判を押しました。



―普段とは違う舞台の顔 

中高生の部は2024年1月に、小学生の部は2月に公演予定です。詳しい日程や時間などは公式ホームページにてご確認ください。公演は一般の方々も観覧可能です。

村井さんは「演劇に興味のある子どもたちはもちろんですが、特に児童の同級生や保護者の方々にはぜひ観てほしい」と目を輝かせました。「昨年の発表では小学生の部を3つのチームに分け、共通のテーマを元にセリフから動作まで全て創作してもらいました。チームごとに全く違う作品ができあがり、プロから見ても“よく思いついたな”と驚かされるアイデアばかり。舞台に立つ彼らは普段とは違う表情をしており、きっと驚くと思いますよ」
村井さん自身も、身近な人々の声が俳優を続ける原動力になっているといいます。




―演劇のまちの児童劇団として 

豊岡演劇祭が開催されるなど、演劇のまちとしてその名を広げつつある豊岡市。同劇場の芸術監督であり中高生の部を指導する平田オリザさんは、たじま児童劇団のライバルはウィーン少年合唱団だと言います。一般的な児童劇団に収まらず、それ自体が人を呼べる観光コンテンツになる未来を夢見ています。

ホームページでは、彼らの活動の様子もアップされています。河畔劇場から未来に羽ばたく彼らを、特等席で応援しましょう。

Name 江原河畔劇場 たじま児童劇団
Info ■江原河畔劇場
[所] 兵庫県豊岡市日高町日置65-10
[問] 0796-42-1155(10:00 – 16:00)
[休] 日曜(公演期間中を除く)
[HP] https://ebara-riverside.com/

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