一華書道会
Vol.3 《養父市》

一華(いっか)書道会は、書道家の華汀kateiさんが代表を務める団体です(2024年現在)。 同書道会は、華汀kateiさんが運営を行う華汀書道教室が母体となってできました。
―「華汀書道教室」の活動
華汀書道教室は平成5年5月に兵庫県養父市の地に発足。令和5年5月に30周年を迎えました。活動を通じて書道文化の伝承と、手書きの文字が持つあたたかさを人々に伝えています。
教室には小学低学年から90歳と幅広い世代の生徒が所属しており、講師である華汀kateiさんは国内を始め、海外と幅広く活動する書道家です。
華汀kateiさんの書道教室の生徒は世代が違うだけでなく、書道初心者から経験者まで様々です。そのため書く文字も、楷書や行書といった漢字だけの書や、漢字かな交じりの漢詩・歌、俳句を書く近代詩文など幅広く指導しているそうです。
実際に、豊岡市・養父市・京都府福知山市で行っている書道教室では、鉛筆の持ち方・筆順・漢字といった書の基礎をはじめ、大人向けにのし袋やペン字の指導を実施。コロナ明けからは、用紙に模様をつけるマーブリングや、仕上げた作品に押印する篆刻(てんこく)作りなども行っており、書道に親しむ場を作っています。
初心者の方からは「楽しかった」。久しぶりに筆を持つ経験者の方からは「懐かしかった、もっとやりたい」という声をいただくそう。他にも「始めるとあっという間に時間が経つので、その時間を惜んでくださる方もおられます。ある人は、黙々と書をたくさん書いて、すっきりされたのか帰られる方もおられますね」と穏やかに笑う華汀kateiさん。
「本当に人に伝えようと思うと上手、下手ではなく、やっぱり文字は読めないといけない。うまく書けるのも嬉しいですが手書きだからこそ味があるあたたかさが生まれ、思いが伝わるのではないしょうか。流派ごとに垣根はあると思いますが『書道を楽しむ。習得上達したい』という気持ちは同じだと思います。小筆、大筆、中には筆ペンから入られる方もいらっしゃるので、興味を持っていただけて熱心に励んでおられる方々は、そういった志が共通すると考えています」とも語ります。
また華汀書道教室では、令和3年に同教室にいる華道、茶道、武道などの師範を持っている人たちから構成された「一華(いっか)書道会」を発足しました。
―「一華書道会」の取り組み
一華書道会の主な活動として、芸術文化の伝承・地域交流活動・こどもの育成と教育・社会福祉等、それぞれの分野の発展を目指しているメンバーが協力し、書道を含めた日本の伝統文化・芸術の伝承、そしてそれらを通じた地域交流の場作りを行なっています。
団体名に書道会とついていますが、書道以外にも華道や茶道などの体験教室を行っており、書道を習っていない人も所属しています。
活動の一つとして「華汀書道教室 交流作品展〜30周年の節目を迎えて〜」の主宰も行っています。
イベントは2024年1月13日(土)〜14日(日)9:00~17:00 開催。
※最終日は15:00まで実施。(2024年2月時点)
詳細は下記をご覧ください。
華汀書道教室30周年 交流作品展チラシ(華汀さん)
(画像:華汀書道教室25周年 記念作品展・生徒作品展の様子)
「一華は『一つの花』と読むように、各会員それぞれが輝く花になれればという意味合いがあります。ひとつの個性ある花が集まり、ひとつの団体となるイメージです。また、一華は読み仮名だけでいうと『一家』とも読めるので、一つの家族のように活動できればと思い付けました」という華汀Katieさん。
「コロナ前に行われた25周年記念展覧会では、書道会の会員やその家族が見るのがメインでした。昨今はパソコンやSNS、オンラインの普及により、文字を書く機会も減少していますが、30周年記念では発表だけでなく地域の方も参加していただき、書に親しんでもらえる場になればと思っています」と30周年記念イベント開催の経緯を教えてもらいました。
―「書道家」になったきっかけ
(画像:第30回全国山城サミット朝来市大会OP 虎臥陣太鼓に合わせた書道パフォーマンスの様子)
華汀kateiさんが書道をするようになったのは、小学3年生からです。
「書道、華道、茶道を習っている中で、書道は同じ教室に通っていた友人に負けじと頑張っていたら、いつの間にか続いていましたね」と当時を振り替えります。
高校卒業後は、すぐ書道家の故・金子 鷗亭氏に内弟子入りするため東京へ。そこから4年間修行の日々を過ごしたそう。
「修行中は、外部と連絡禁止。稽古以外にも先生とその奥様の三食の食事づくりと掃除洗濯など生活全般を担っていました。先生は、どんなに困難な事でも挑戦され続け、『海外での書道の普及、国内の高校生に書道継承を』と、現在の高校生の為の国際選抜書道展を立ち上げられ、書道パフォーマンスも今では各地で行われる様に普及活動に力を注がれました。『後世の人達の為に、今、自分がやらないといけないから』と仰っておられました」
華汀kateiさんの師である故・金子氏とは、北海道出身の書道家です。全国戦没者の標柱を30年にわたり担当し、平成2年には文化勲章を受賞した名誉ある方です。
「任期満了四年の修行を終えるにあたり『先生と奥様からもう少し居てもらえないだろうか』と仰っていただきました。 両親に許可を得てさらに修行を積もうとしていた頃、父が病に倒れて他界。 父が亡くなった後は但馬へ帰郷し、アルバイト等をしながら『どう但馬で生活をして行こうか』と模索していました。そのうち『何の為に書道をしてきたのだろう』と思い、母や恩師、 書道の先輩方からの応援もあり、 書道教室を開講することに決めたんです」という華汀kateiさん。
書道教室主宰とは別に「他の方がされていない活動で、地域交流や社会貢献をしたい」その思いから日本とパラオ共和国25周年記念式典では、各国要人はじめ安倍元首相の前での書道パフォーマンス披露。そして皇室の方々御臨席の式典での書の披露など、活動の幅を広げています。
―「書道」が教えてくれたこと
(画像:養父市立大屋小学校書き始め大会での様子)
自身の活動について「人と違う道を歩むというのは大変なこともありますが、ここまでやって来れたのは、様々な人たちとの出会いと支えがあり有り難い事だと感謝しております」という華汀kateiさん。
今後も「書の楽しさを味わってもらえるよう、そして書をきっかけに、新たな交流や仲間と出会える時間を作れたら」と話します。
これまでの作品の一部や、教室の案内などは公式HP。イベント等は各SNSなどでも紹介しています。
書道はこういうものというイメージは置いて、まずは書道の面白さに触れに、展覧会や体験イベントに参加してみませんか。
自分の知らなかった書道の魅力に出会えるかもしれません。